犬の病気と症状
皮膚がはれる
考えられるのは皮膚がんです。皮膚がんはイヌのあかでも多く見られます。
種類
皮脂腺腫 患部に数センチの脱毛が見られる
扁平上皮がん 皮膚や粘膜をつくる細胞ががんになったもので鼻先、耳、爪に見られる
黒色腫(メラノーマ)黒色の腫瘍ができる
このほか肥満細胞がん、腺がん、肛門周囲腺腫があります。
普段から皮膚の異常には注意して異常に気づいたら診察を受けるようにしましょう。
また乳がんはメスに発症するがんの50%を
占めますしこりが唯一の症状で乳房、
乳頭にさまざまな硬さのしこりが出来るので注意しましょう。
リンパ節がはれる
リンパ節にグリグリとしたしこりが出来るのはリンパ腫です。
リンパ腫は血液のがんの一種であごの下のリンパ節にできることが多いようです。
がんが発症しやすいのは5~7歳のイヌで高齢になるほどかかりやすくなるといわれています。
がんの治療は早期発見、早期治療がもっとも大切です。
乳房がはれる
また乳がんの可能性があります。
圧倒的にメスに多く女性ホルモンの影響によるものだといわれています。
チェックポイント
・乳頭をつまんでみましょう 血や膿などの分泌液がでていませんか?
・乳房のまわりを指で押さえてみましょう しこりがありませんか?
・乳房のまわりをなでてみましょう 熱をもったところはありませんか?
・乳頭と乳頭の間を押さえてみましょう しこりがありませんか?
がんのサイン
・体臭が強くなったり悪臭がする
・理由がなく体重が落ちる
・皮膚のしこりや口の中にできたものがだんだんおおきくなってくる
・散歩など運動をいやがりすぐ疲れる
・呼吸が荒くなったり浅くなったり一定でなくなる
・一度できた傷が治らずただれてくる
・血や膿などの分泌液がでている
・体にまひしているようなところがある・
・排尿、排便に異常がみられる
皮膚がにおう
皮膚病の可能性があります。
まずは脂漏症 皮脂の分泌が少なすぎたり多すぎたりと乾性と湿性があります。
また膿皮症の可能性もあります。
細菌が皮膚に侵入して炎症をおこして発疹ができます。
免疫力の弱い子犬や老犬は数日で全身に広まる可能性があります。
耳がにおう
耳の入り口に耳垢がたまっていませんか?
健康なイヌの耳垢にはにおいはありません。
ためたままにしておくと細菌やカビ、寄生虫などに
感染しやすく外耳炎の原因になります。
そして外耳炎を放置しておくと中耳炎になります。
またミミヒゼンダニが寄生しておこる耳かいせんもあります。
お尻がにおう
肛門のう炎が考えられます。
肛門の両側に肛門のうがありにおいのある分泌液がたまっています。
ふつうは排便のときに一緒に排出されますが
炎症をおこすと肛門から悪臭がするようになります。
また肛門周囲炎も考えられます。
こちらは皮膚炎で便がついたままになってただれていたり、
お尻を地面にこすりつけて傷になって炎症をおこすことでにおいがでます。
メスの場合膣炎や子宮蓄膿症も考えられます。
口がにおう
最も多いのが歯周病です。
さらに炎症がすすむと歯の根元に膿がたまってにおいます。
また細菌に感染して炎症をおこす歯根膿症もにおいます。
口内炎や口唇炎でもにおい、口の中にできた傷などから細菌感染した場合もにおいます。
けいれんする
原因となる病気はさまざまですがいずれの場合も
脳の働きが障害をうけたことでおきます。
チェックポイント
・頭にけがをしている場合 外傷によるけいれん
・全身がけいれんしている場合 てんかん、、ジステンパーによるけいれん
・泡を吹いている場合 てんかんによるけいれん
・意識がなくなっている場合 肝性脳症、てんかん、低血糖症によるけいれん
・アンモニア臭がする場合 尿毒症によるけいれん
・下痢、嘔吐の症状がある場合 中毒によるけいれん
けいれんが始まったら
たおれそうな方向にクッションなどを敷く
口を押えたり体に触れたりしてけいれんが治まるのを見守ります。
けいれんがおさまったら
よだれや泡が気管に入らないよう丁寧にふきます。
症状をメモし受診する。
前足をなめる
なめている前足をよく観察しましょう
・前足のどの部分をなめていますか?
骨折や脱臼、打撲などのけがが
どこにおきているかを確認しましょう
・なめているのは片足ですか?両足ですか?
両前足をなめている場合は全身の病気の可能性があります。
・長時間なめ続けていますか?ときどきなめるだけですか?
何時間もなめ続けているときは慢性的な病気の可能性があります。
・前足が変形していませんか?
足の内部に異常がありはれているかもしれません
・なめるだけでなく爪でかいたり、歯でかんだり、
何かにこすりつけるなどして傷をつけていませんか?
かゆみしびれなどがおこっていなか確認しましょう。
・皮膚に傷はありませんか?
切り傷、刺し傷、擦り傷などの外傷が原因だと考えられます。
また心の病気の可能性もあります。
かわいがられすぎているイヌが飼い主と離れ不安になり
ストレスにさらされることで前足を何時間もなめ続けることがあります。
ほえる、かむなど攻撃的になる
心の病気が原因でなることがあります。
優位性によるもの、恐怖によるもの、
テリトリーを守るの3つの型があります。
動いているものにほえるのは獲物をつかまえようとする本能です。
交尾のまねをする
イヌは自分の優位性をあらわすためにマウンティング(交尾の姿勢)をとります。
後ろから乗りかかっているほうが優位であることを示し人間対しすることもあり単にじゃれあっていることも少なくありませんが、注意してもう一度しっかり飼い主がイヌより優位であることをしつけたほうが良いかもしれません。
2イヌの最新医療
・獣医療にひろがる専門医
動物病院で内科、外科、皮膚科など専門科に分かれている病院は
大学病院をのぞいてはまだ少ないですが日本獣医師会では
専門医の育成に力を入れまた獣医師間のネットワーク強化によって得意な分野の医師が見つかるように努めています。
・骨の治療は外科専門医に股関節形成不全という病気は
いままで運動管理や体重制限が治療手段でしたが
外科技術の向上でさまざまな手術が可能になりました。
・目の治療にはレンズを使います。
白内障で6歳以下の発症は遺伝性で正常な視力を取り戻せます。
最近では水晶体にかわる「眼内レンズ」をいれる手術が行われています。
・がんに立ち向かう
最近では人間と同じように化学療法、放射線治療も積極的に行われています。またがんといえば「痛み」の問題がありますがイヌは「痛い」と言えませんので体を曲げたりして訴えます。
ペインクリニックで痛みを軽減する方法、またイヌにとってなにが幸せな生活か考え痛みだけをとり、余命をのんびり過ごさせる選択もあります。
・一本づつ歯を治療する
食生活変化から虫歯や歯周病になるイヌが増えています。そこで動物病院では麻酔をかけ歯にこびりついた歯石を一本一本丁寧にとりのぞく治療も行っています。また、健康な歯を守る正しい歯磨きの指導もしています。
・痛みをなくすペインクリニック
痛みが数多くの病気を併発させます。そこで現在は「痛みは治療するもの」という考え方が主流になっています。それが「ペインクリニック」で痛み止めの薬を投与しながら治療を続けます。
・進化する医療機器
医療機器は年々進化しています。人間と同じようにMRI、CT、X線、内視鏡、超音波、レーザーと最先端機器も増えています。しかし、費用も時間も麻酔もかけて行うのでリスクもあります。
やはり普段から定期健診をおこないおおきな病気の可能性が考えられたら最新機器治療を受診することが良い方法だと考えます。
3、愛犬にあった代替治療
・選択肢をひろげる代替治療
現在では現代医学のほかに
自己治癒力を高める漢方治療、体の免疫力を高めるツボ療法、ストレスを軽減するアロマテラピーや手と林トンタッチ、行動がらのカウンセリングなどさまざまな治療方法が選択できます。治療方法にはメリット、デメリットがあるので獣医と相談し治療に取り組みます。また組み合わせなども選択できますし、治療だけでなく病気の予防にも活用できます。
・漢方で体にやさしい薬を
漢方薬は体のバランスを整え自律神経を調整し体質や体調を改善し自己治癒力を高めます。
・ツボ療法で健康を維持する
イヌにもツボがあります。ツボを押さえることで病気から体を守る免疫力を高めるだけでなくリウマチや椎間板ヘルニアなど痛みを和らげる効果があります。
また、ツボを針で刺す鍼灸治療も積極的に行われています。
また、ツボマッサージと違い体をやさしくさわって精神を安定させる「テリトンタッチ」という治療法もあります。もともと調教馬に使われていたものでこれがイヌにも応用されています。
ツボマッサージもテリトンタッチも精神を安定させる効果があります。
・アロマテラピーで心身ともにリラックス
アロマテラピーはエッセンシャルオイルを使って体をマッサージする治療法です。
リラックスさせる効果だけでなく体の免疫力を高める効果もあります。
アロマテラピーはマッサージだけでなくアロマポットを利用して香りをおこし香りをかぐことでイヌも心身ともに安定するといわれています。ただイヌのきゅう覚は鋭いので専門医の指示を受けるようにしてください。
・カウンセリングで問題行動を解決
いぬは話すことができないので行動から気持を読み取りカウンセリングを行うのが問題行動の治療法に活用されています。
4、子犬と高齢犬のかかりやすい病気
子イヌ
・子犬の成長に応じて健康状態をチェックしよう
生まれてから約一年で成犬に成長します。
体だけでなく心も成長するもっとも大事な一年といえます。
この時期の健康管理がそのイヌの一生を決めるといっていいでしょう。
食餌、運動、うんちやおしっこの様子、すべてが健康チェックになります。
ただかわいがるだけでなく健康な体をつくる時期にしましょう。
・子犬の健康は予防接種で守ります
生まれて間もない子犬を守るために母イヌの初乳には免疫が含まれています。
これは出産後三日間に出る母乳です。
これで伝染病に対する免疫を得ます。
これを母子免疫といいます。
この免疫はは生後60日前後でなくなってしましますので
そうならないようにワクチンを接種します。
ワクチンでしか防げない病気があるので忘れないようにしてください。
・子イヌのかかりやすい病気
感染症ではジステンパー・ケンネルコフ・パルボウィルス・コロナウィルス腸炎
免疫力がつくまでは土や繁みに連れて行かないほうが良いでしょう。
チェックポイント
熱はありませんか?
便の様子がいつもとちがいませんか?
鼻水がでていませんか?
食欲はありますか?
感染症は発熱が大きなサインです!
寄生虫病
回虫症・鉤中症・ニキビダニ症
その他の病気
低血糖・急性胃腸炎・股関節形成不全・レッグパーセス
虫を吐いたらすぐ病院へ!
高齢犬
体の衰えに応じた環境づくりをしましょう
7,8歳を過ぎると体が衰えだしてきます。
老化のサイン
・目が見えなくなる
・毛の色が薄くなる
・足腰が弱くなる
・動くたがらなくなる
・食餌量が減る
これらのサインを見つけたら室内の段差をなくす、
フードを高齢犬用に切り替える、
暑さ寒さ対策を行うといった環境づくりを行いましょう。
高齢犬のかかりやすい病気
腫瘍(がん)・糖尿病・心臓病・慢性腎炎・白内障
寝たきりになってしまったら十分な介護をしましょう
・寝床はいつも清潔に
・床ずれを防ぐ
・日光浴をさせる
・おむつをする
・体をふく
・食餌の補助をする
また留守番をさせるときはさみしくないように
飼い主のにおいのついたタオルをおいたりテレビや音楽を流しておきます。
愛犬の最期を見送る
高齢犬が病気になった場合いろいろな問題に直面します。
たとえばがんになった場合手術をするかどうか、です。
手術は体の弱った高齢犬にはかなりの負担でそれでも手術を望むかどうかは飼い主の決断にかかります。
病気になったら次のことを獣医に確認しましょう。
・イヌはどのくらい苦痛をかんじているか
・症状はかいぜんすることがあるのかどうか
・このままでどのくらいの余命があるのか
・どこまでの介護をしなければならないか
・病院代、薬代、介護代などどれくらいの費用がかかるのか
きちんと愛犬の状態をしっておきましょう。
そのうえで何ができるか何が愛犬にとって幸せかを考えます。
安楽死という選択もありえます。
しかし、これは人によって考え方も違いますし、
単に「良い、悪い」という問題ではありません。
苦しみながらもともに病気と闘い寿命をまっとうするという選択、
苦しみから解放してあげ、寿命を断つという選択もあります。
どのような選択にするか慎重に考えてください。
「ペットロス症候群」を乗り越える
愛犬が死んだ、行方不明になった、
手放したというとき飼い主は無気力になったり、
悲しみや怒りが込みあえげてきたり、
精神的に不安定になったりすることがあります。
このようなきっかけで精神的ダメージを受けることを
「ペットロス症候群」といいます。
多くは愛犬が死んだときに感じる悲しみを
「そんなに悲しむのはおかしい」とひとに言われたり、自分で否定したり、
あるいは「もっとこうするべきだった」と自分を責める人たちがペットロス症候群に陥りやすいものです。
立ち直るためには悲しみを真正面から受け入れることです。
最愛の愛犬が死んだのですから悲しいのは当たり前。
この悲しみを素直に表現し他人に聞いてもらいましょう。
また、お葬式や供養、写真の整理などで愛犬の死を一つ一つ確認していきます。
そうすることで気持に整理がつきます。
あなたが愛犬と暮らす日々をとても幸せだったとかんじていたのなら
愛犬も幸せな日々を送ったにちがいありありません。
イヌと人とがかかわり、
幸せだと思えることは素晴らしい一生だったといえるのではないでしょうか。